兵庫県の坊勢島で、野良猫の過剰繁殖問題に取り組む獣医師、野村芽衣さんの活動について紹介します。野村さんは、低価格で不妊去勢手術を提供する「スペイクリニック姫路」を運営し、島での出張手術も行っています。彼女の目標は、殺処分を減らし、地域猫と人間が共生できる環境を作ることです。
島の現状と野村さんの活動
坊勢島では野良猫が増え、住民は糞尿や鳴き声に悩まされています。自治会は殺処分ではなく、不妊去勢手術を選択し、野村さんに協力を依頼しました。ある日、彼女は45匹の猫を捕獲し、そのうち41匹に手術を施しました。手術は公営施設に設置した仮設手術室で行われ、オスの手術には約5分、メスの手術には約20分かかります。
包括的な医療提供
手術中、野村さんは猫の健康状態もチェックし、必要に応じて追加の治療を行います。例えば、ウイルス性の猫風邪にかかった猫には目薬と抗生物質を投与し、爪の感染症を患っている猫には適切な処置を施しました。これらの猫は普段医療を受ける機会がないため、手術の機会を最大限に活用してケアを提供しています。
さくら耳と地域猫の管理
手術後、猫の耳に「さくら耳」と呼ばれる切り込みを入れ、手術済みの印をつけます。これは、同じ猫が再度捕獲されるのを防ぐための目印です。手術を終えた猫は元の場所に戻され、地域の一員として見守られます。この取り組みは、地域住民と猫との共生を目指すものです。
挑戦と今後の展望
野村さんは、野良猫問題に対処するたびに新たな課題が出てくると語っています。それでも、彼女は地域猫が「迷惑な存在」から「愛される存在」になるように活動を続けています。彼女の目標は、地域全体で野良猫の問題を理解し、共に解決することです。
この記事を通して、不妊去勢手術の重要性とその普及に向けた獣医師の奮闘が浮き彫りになっています。野村さんの活動は、動物福祉の観点からも非常に意義深いものであり、多くの地域で同様の取り組みが広がることを期待します。
参考:https://www.mbs.jp/news/feature/kansai/article/2024/06/100800.shtml